2021/10/22(最終更新日:2022/09/02)

みかん豆知識

みかんの保存方法のご紹介。貯蔵産地のみかん農家が温度や湿度などを詳しく解説します。

みかんの保存方法のご紹介。貯蔵産地のみかん農家が温度や湿度など日持ちさせる方法を解説します。

みかんの保存は皆さんどんなふうにされていますか?
通販で箱買いしたものの、一気に食べられない。少しでも長持ちさせたいけど保存方法が分からない。置き場はどこがいいの?冷蔵庫はありなの?なしなの?
そんな悩みを持つ方が多いんじゃないかなと思います。

皆さんに少しでもみかんを長持ちさせて、ゆっくりみかんを楽しんでもらえるよう、貯蔵みかんの本場である下津町の蔵出しみかん※農家が、温度と湿度に着目してみかんの保存方法を解説したいと思います。

※蔵出しみかんとは収穫したみかんを2,3か月貯蔵してから出荷するみかんです。

一般的な野菜や果物の保存に適した温度と湿度

一般的に野菜や果物などの青果物を保存するには、

気温はなるべく低く(10℃以下)
湿度はなるべく高く(80%以上)

が基本になります。

野菜や果物は収穫後も呼吸をしています。呼吸はエネルギーを作るために重要ですが、同時に糖などの成分を消費してしまいます。

気温が低いと呼吸量が少なくなり、青果物の成分の消費が少なくなるため、長持ちします。
ただ0℃以下になると凍結して細胞が壊れるため、0℃~10℃程度が目安となります。

また、野菜や果物は収穫後、水分を保持することで鮮度を保つことができます。

湿度が高い場所で保管することで、青果物からの水の蒸散を防ぎ、鮮度を保つことができます。

みかんの保存に適した温度と湿度

では、みかんの場合はどうでしょう!?
みかんやカンキツの理想的な温度や湿度は以下の通りになります。

種類、品種温度(℃)湿度(%)
温州みかん3~685
はっさく3~6 90~95
ポンカン5~685
清見2~390
しらぬい7~890~95
農業技術体系果樹編 第1-1巻 技+359 参照

品種によって多少の違いはありますが、ざっくりまとめると一般的な青果物と同様、気温は低く(10℃以下)、湿度は高く(80%以上)が基本になっています。

では、温度や湿度が適した状態から離れるとどうなるのか。
冬はやっぱりこたつでみかんの代表格、温州みかんで説明していこうと思います。

温度が高いとどうなる?

上にも書いた通り、温度が高いと呼吸により消耗するため、品質が低下します。ただ、数日ではそれほど消耗しないので、むしろ問題になるのは腐りの発生になります。気温が高くなるといろんな菌が活発になるので、腐敗が進んでしまいます。

温度が低いとどうなる?

温度が低すぎて、氷点下になると、みかんは凍ってしまい、細胞が壊れ、おいしくなくなります。またみかんは2℃以下になると、皮の表面が黒ずんできます。こうなるとおいしくなくなってしまうので、低温すぎるのもよくありません

湿度が高いとどうなる?

上にも書いた通り、湿度が高いほど鮮度を保つことができます。ただ、温州みかんのように手で剥けるほど皮の薄いみかんは、湿度が高すぎると皮が水分を吸収して浮皮が発生してしまいます。皮の浮いた柔らかいみかんは味が落ちてしまいます。

湿度が低いとどうなる?

湿度が低いとみかんの表面から水分がどんどん失われるため、乾燥が進み、皮がしわしわになってきます。しわしわのみかんは、イメージ通りおいしくないです。

問題:家庭でみかんの保存に適した場所は??

では、ここからが本題。

いきなりですが、問題です!
家庭でみかんを食べる冬場にみかんを保存するのに最も適したところは以下4つの中でどこでしょうか??

①こたつの上
②縁側など風通しのよいところ
③冷蔵庫の中
④送られてきた箱の中で保管

ちっ
ちっ
ちっ
ちーん!

皆さん分かりましたか??
この問題案外難問です。

一つずつ解説していきます。

①こたつの上

上からこのページを読んできて、これを選んだ人はさすがにいないんじゃないかな?と思います。こたつの上はとにかくあったかくて気温が高いですね!気温が高い場所では傷みが進みます。なのでよくないですね。

ただこたつのみかんは冬の風物詩。置いてすぐに傷むことはなく、2,3日は全然大丈夫なので、ええぐらいの量を持ってきて、冬はやっぱりこたつでみかんをお楽しみください!

というわけで 「 ①こたつの上 」 は 0点 ハズレです。ブッブッー

②縁側など風通しの良いところ

温州みかんの旬となる冬場の縁側は気温が低いですね。暖房がかかった部屋よりも温度条件ははるかにいいです。
※気温が2℃を下回ってしまう地域はNG

では、湿度はどうか??風通しが良い=やっぱり湿度も低めです。
日本の冬の湿度は50~60%。悪くはないですが、長い間置いておくと水分がなくなりしわしわになっていきます。

というわけで 「②縁側など風通しの良いところ」 50点。悪くないだろう。ぐらいですね。

こちらを選んだ方、案外多いのではないでしょうか?

③冷蔵庫の中

冷蔵庫の中の気温はおおよそ8℃ぐらい。みかんの保存にはええ感じです。
では、湿度はどうでしょうか??

冷蔵庫の中の湿度はやや低め。メーカーや機種にもよりますが、一般的には10%~50%ぐらいのようです。冷蔵庫は気温は低いですが乾燥するため、良いとは言いづらいです。

と、思っていたのですが、実際に入れてみると・・・

うちの場合は湿度69%。大体の場合他の食材も入っていたりするので、湿度は思っている以上に高めになるような感じがします。

少しずつ乾燥してきますが、このみかんは2か月ぐらい冷蔵庫でピンピンしていました。冷蔵庫も悪くはないですね!

というわけで 「 ③冷蔵庫の中 」 は 比較的良好。60点ぐらいです。
※冷蔵庫の性能によって湿度は変わってくると思うので、実際に湿度を測りながら試してみると安心だと思います。

④送られてきた箱の中で保管

箱の中で放置すると・・・
気温についてはその箱の場所によりますが、湿度は箱の中でどんどん上がっていきます。箱の中は密閉空間。密閉空間にみかんを置いておくと、呼吸や蒸散でみかんから出てきた水蒸気が箱内にとどまり、湿度が上がっていくことになります。

これはみかんにとっては・・・好都合になります

実はこの状態は蔵の中を木箱に入れたみかんでいっぱいにして湿度を保つ蔵出しみかんの保存環境に非常に似ています。

※気になる方はこちらの動画をぜひご覧ください。

但し、箱の中はみかんが密集しているので、みかんの腐りが発生するとどんどんうつっていきます。

送られてきたみかんは一度中身を確認してから気温の低い場所にて箱の中で保管するといいと思います。

というわけで 「①送られてきた箱の中で保管」 は 条件を整えればいい環境になります。 90点 という感じですね♪

ちょっと意外と思う方もいるかもしれませんね!

さらに理想的なみかんの保存方法

最後に箱の中でどのように入れて保管すると100点の環境ができるか実験してみました!

左から順に

①段ボール箱にラップを被せた状態
②段ボール箱に新聞紙を被せた状態
③何も被せていない状態

の3パターンです

まず①ラップを被せた状態は・・・

湿度97%
完全に上がりすぎですね。

清見のようなオレンジ類の場合はこれでOKですが、みかんの場合は湿度は高すぎもNG

ラップはあまりよくなさそうです。

続いて②新聞紙を被せた状態は・・・

湿度87%
ほぼ理想に近い状態です。

最後に③何も被せていない状態だと・・・

湿度72%
少し湿度は低めになります。

と、いうわけで、みかん箱に新聞紙を被せてあげるぐらいが、温度湿度ともにいい環境になります。

みかんの保存の噂あれこれ

グーグルさんで探されていそうなワードたち

このブログを書く中でみかんの保存には上のようにいろんな噂もあるんだなぁと思いましたので一つ一つ温度、湿度の観点で解説してみます。

みかんの保存 冷蔵庫

こちらは先ほども解説した通り、ありです。湿度が低めなのもキッチンペーパーや新聞紙でくるんであげれば適正な湿度になるのでいいと思います。

みかんの保存 冷凍庫

上の画像にはありませんが、冷凍庫はどうなのかというような疑問も目にしたので解説すると、冷凍庫に入れると凍ってしまうため、細胞が壊れてしまいます。急速冷凍のような方法であれば食味を損なわず凍らせることもできるかもしれませんが・・・一般の冷凍庫の場合は正直味はイマイチになります。

ただ家庭用冷凍庫で凍らせたみかんの味が好きな方も周りにはいますので、試しにやってみてもらえたらと思います!これはこれでおいしいかも。

みかん 冷蔵庫 日持ち

これは生ものですので難しいところ。みかんの状態や保存環境が良ければ2,3か月持ったりもしますし、状態がイマイチだと1週間ほどで傷んでくることも。生果の難しいところです。

蔵出しみかんは2,3か月保管しても8割は傷みませんので条件が良ければ長持ちするかもしれません

みかん 冷蔵庫 甘くなる

甘くなる系の噂はいっぱいありますね!みかんの甘さを感じる要因は糖度と酸度。貯蔵するとみかんは呼吸して糖も酸も消費します。一方で蒸散で水分は少なくなるので、味を感じる成分は少しずつ消費されながらも濃縮されていくという感じになります。

個人的にはコクのあるみかんになっておいしいと思っていますが、一概には言えないですね。ぜひ実際に試してみてください♪

みかん 保存方法 カビ

みかんのカビを生やさない方法を探しているんだと思います。
結論から言うと、カビが生えるものは生えます。ただ、カビはうつっていくため、みかんを密接させない、もしくは傷んだみかんをすぐに取り除いてあげることでかびが広がるのを防ぐことができます

実際蔵出しみかんを貯蔵する際にも、腐りの広がりを防ぐために1か月に何回か腐り選りをする場合があります。

みかん 保存 向き

意外にこの疑問が多いみたいですね。
地面と接している部分は圧がかかるから傷みやすく、へたのほうを下にしてあげる方が傷みにくい、としている内容が多いですが・・・確かに言うとおりだと思います。

実際に貯蔵する際はそんなこと言ってられないのでそこまでしませんが、家庭で保存する場合はやってみてもいいかもしれません。傷む確率はちょっとは下がるかも

ネットにはいろんな情報があるので自分も勉強になりました!

結論:みかんの保存方法まとめ

さてさて、寄り道しましたが結論です。

冬場にみかんが届いた場合は

①みかんの箱の中身をチェック
②みかんを箱に戻して新聞紙を被せ、気温の低い部屋へ
③必要な分だけ持ってきてこたつでみかん!

これで完璧です。

もし地域や時期により、外気温が低すぎたり高すぎたりする場合は、新聞やキッチンペーパーでくるんで冷蔵庫に入れると同じようにいい条件で保管することが可能です。

長い間置いておきたい場合は1週間に1回程度は中身を確認してあげましょう。

以上、今回はみかんの保存方法を温度と湿度の観点からご紹介させていただきました。みかんの時期になりましたら、実際にみかんを置いてみて、みかんの保存耐久レースを実施したいと思っていますので、お楽しみに♪

蔵出しみかんは先人の知恵により、日本の気候を非常にうまく活かしながらみかんを貯蔵しています。その保存期間は2~3か月。
生ものなので一概には言えませんが、皆さんの家庭でも、日本の冬の気候を活かして温度湿度条件を整えれば同じぐらいみかんを長持ちさせられるはず

みかんを長持ちさせて、みかんの箱買いライフ楽しんでくれると嬉しいです。

蔵出しみかんのページはこちらから

商品一覧ページはこちらから

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人藤原良太

蔵出しみかんの藤原農園HPを運営しています。
今年から本格的に実家の農家を継いでみかん農業をスタート。
みかんを食べるだけでなく、どんなところで、どのように育ったか知ってもらい、よりみかんの魅力を感じて頂くことをモットーに頑張っていきます♪

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