みかんの肥料のやり方ってご存じでしょうか?
みかんにとっての肥料は人間にとってご飯のようなもの。
少ないと成長しませんし、多いとよい体つきになりません。
また養分のバランスが悪いと、不調になったりします。
こちらではみかんの1年間の肥料のやり方、設計の仕方を植物にとって重要な三要素N(窒素)P(リン酸)K(カリウム)に絞って解説します。
肥料のやり方を動画で解説!
肥料の三要素(NPK)とは!?
肥料の三要素とはN=窒素、P=リン酸、K=カリウムのことで、植物が最も多く必要とする養分3つになります。よいみかんを作るためには自然から吸収する量では不足してしまうため、この三要素を意識して肥料をあげる必要があります。
NPKのみかんへの働き
NPKそれぞれのみかんへの働きをまとめると以下のようになります。
三要素 | 働き |
---|---|
N(窒素) | 植物に重要なたんぱく質や葉緑素の構成成分であり、みかんの木の成長や果実の品質に最も大きい影響を及ぼす肥料成分。少ないと木の成長が鈍くなり、果実の収量も減少する。多すぎると木の成長が優先され、果実がつかなくなる。 |
P(リン酸) | 核酸やリン脂質の構成元素でエネルギー伝達などの生命現象に関わる元素。みかんでは幼木の際に不足すると生育不良が発生する。果実の品質を向上させる効果があるともいわれている。 |
K(カリウム) | 細胞液の浸透圧やpHの調節作用といった生理作用に役立っている。幼木の際に不足すると生育不良が発生することがある。みかんの木の耐病性や耐寒性を高めるとも言われている。 |
1年間の施肥量の目安は!?
上でも紹介した通りみかんに最も大きな影響を及ぼすのは窒素。したがって従って、施肥において基本となるのは窒素の年間施用量となります。
窒素の年間施用量の目安は20kg~25kg/10aとなります。
※10aって何?って感じになると思うので、下記の施肥量の計算方法で詳しく解説します。
そしてリン酸とカリウムは窒素の60~80%(12kg~20kg/10a)ほどを施用します。
肥料は年間何回に分けてやる!?
では、上で紹介した肥料成分を気が向いたときに1回でまとめてやればいいのか?というとそうではありません。
人間でも食べためはできないですが、それは植物も同様。さらに植物は季節によって吸収した養分の利用方法が違うので、正しい時期に正しい量を与える必要があります。
みかんの肥料は春、夏、秋の3回に分けてあげる、もしくは春、秋の2回に分けてあげるのが一般的です。
春肥、夏肥、秋肥の役割は!?
春、夏、秋にあげる肥料をそれぞれ「春肥」「夏肥」「秋肥」といいます。それぞれの肥料の役割は以下の通りになります。
肥料の種類 | 役割 |
---|---|
春肥(3月中旬~4月上旬) | 春枝の充実と幼果の肥大を促進 |
夏肥(5月中旬~6月上旬) | 新梢の発育や果実の成長を促進。 効きすぎると果実の品質低下につながる。 |
秋肥(10月下旬~11月上旬) | 樹勢の回復、耐寒性の向上、翌年の発芽と開花の準備 |
温州みかん栽培においては
春肥:夏肥:秋肥=4:2:4 (主に普通温州) または
春肥:秋肥 =5:5 (主に早生温州)
のような分配であげるのが一般的です。
肥料袋に書いている三要素の見方
ここまで読んでいただいて、さぁ、肥料をあげよう!と思い、肥料を買ってきても、まだ障壁が立ちはだかります(;’∀’)
それは肥料袋に書いている各成分の見方。初めての方には分かりづらいと思うので解説します。
肥料袋に8-8-8と書いている場合
これがどういうことかというと、
「窒素8%、リン酸8%、カリウム8%がこの肥料の中に入っていますよー」という意味になります。
この肥料袋は20kg入りですのでその8%ということは
20kg×8%(0.08)=1.6kg
この袋1袋を与えれば、窒素、リン酸、カリウムがそれぞれ1.6kgずつ与えられるということになります。
施肥量の計算方法
1年間に必要な施肥量が分かって、各時期の分配も分かった、さらに肥料袋の意味も分かった!
よし、肥料をやるぞ!!と思ってもあともう一つ分からないことが残っていますね。
上で紹介した窒素施肥量の目安20~25kg/10aってどういう意味だ!?ってところです。
10a(1反=約1000㎡)というのは農作物を作る際によく使う単位なのです。それだけの面積を栽培していれば、1反に必要な肥料成分を植えている本数で割れば、1本あたりに必要な量は分かりますが、家庭で1本だけ植えていたりする場合はどう計算すればいいか、わからないですよね。
みかんの木は1年目と10年目と20年目で木の大きさが全然違ってきます。なので1反当たりの本数も年数により大きく変わります。あくまで目安として、1反に植えられるみかんの本数を樹齢ごとに紹介します。
樹齢 | 10a当たりの植付本数 |
---|---|
1年目~7年目 | 200本 |
7年目~15年目 | 100本 |
16年目以降 | 50本 |
なので例えば10年生の早生温州に春肥を与える場合1本に肥料を与える際の条件が、
年間施肥窒素量 20kg/10a
年間施肥方法 春肥:秋肥=5:5
10aの植付本数 100本とみなす
肥料成分表示 N:P:K=8:6:6
であった場合、
春肥に必要な窒素量
春肥に5割、秋肥に5割なので
20kg×5/10=10kg/10a
1本あたりに必要な窒素量
10aあたり100本植わっているとして
10kg/100=0.1kg/本
肥料1kgあたりに含まれる窒素成分
肥料成分は窒素8%なので
1kg×0.08=0.08kg
1本に必要な施肥量
1本あたり0.1kg必要で、肥料の窒素成分は8%なので
0.1÷0.08=1.25kg
となります。あぁややこしいですね(;’∀’)
でもこういったことを理解しながら施肥していくと、みかん栽培が非常に楽しくなってきます。
ぜひ計算してみてください。
みかんの肥料のやり方
ようやく、1本の木に与える肥料の量が分かりましたね!
では最後に肥料のやり方を紹介します!
当然ですがみかんは肥料を根から吸いこんで、樹に取り込みます。
なので根があるところに肥料をあげるのが基本になります。
ではみかんの根はどこあるのか!?
それは葉が茂っている部分の下になります。
みかんの木は地上部と地下部が同じように成長していきます。地上部の葉が茂っている部分まで根が伸びていると考えられます。
またみかんの木は太い根からではなく、細い根(細根)から養分を積極的に吸収します。
細根は木の幹の方よりも外回りの方が発達しています。
なのでみかんの葉に覆われた外回りの地表面に与えると効率よく吸収してもらえます。
また肥料は雨によって根のある地下へ浸透していくので、雨の前を狙って与えると効率よく効かせることができます。
いかがでしたでしょうか??
みかんの施肥設計は正直自分も最初は非常にわかりにくかった部分になります。
ただ一度勉強してみると、肥料にもやりがいが出てきます。
ここではみかんの肥料の基本を本当にざっくり書かせてもらっています。実際には肥料成分で気を付けるべき成分はほかにもあったり、有機肥料と化成肥料の話であったり、窒素成分を動物由来のものにするか、植物由来のものにするかであったり、春の施肥は2回に分けたほうがいいであったりと肥料には本当にいろんな考え方があります。
ただ、いきなり細かい話から入るといろんな意見がありすぎて迷子になるので、まずは今回紹介したN(窒素)P(リン酸)K(カリウム)に着目、特に窒素に着目して、施肥設計を立ててもらえたらと思います。
そして基本を守りながら、興味がわいてきたら、いろんな施肥方法を研究していけばいいんじゃないかなぁと思っています。
のちのちもう少し詳しい肥料の話もしていこうと思っていますので、お楽しみに。
自分もまだまだなので、これから勉強頑張ります!
最後までお読みいただきありがとうございました。