蔵出しみかんは和歌山県海南市下津町の特産品。
蔵出しみかんはネットでどんな紹介をされているのかなと思い、「蔵出しみかん」と検索しようとしてみると、検索画面に衝撃の予測検索が・・・
蔵出しみかん まずい!?
さらに検索後の予測検索にも・・・
「蔵出しみかん まずい」・・・(;’∀’)
蔵出しみかんを生産している身としては、それこそこれは非常にまずい・・・
検索結果にはそういった記事は出てきませんが、予測検索に出てくるということは、調べている方がいるはず。
蔵出しみかんは年末のとれたてみかんとは少し違った特徴があり、その辺がまだまだ認知していないのが原因なのかなと思いましたので、今回、蔵出しみかんの特徴について解説させていただきたいと思います!
蔵出しみかんと一般的なみかんとの違い
蔵出しみかんと一般的なみかん(収穫後すぐに出荷される年末のみかん)の違いは以下の通りになります。
項目 | 蔵出しみかん | 一般的なみかん |
---|---|---|
出荷方法 | 年末に収穫したみかんを2,3か月貯蔵して熟成させてから出荷 | 年末に収穫したみかんをすぐに出荷 |
流通時期 | 1月~3月 | 11月~12月 |
一般的な品種 | 晩生 | 早生 |
蔵出しみかんは収穫したみかんを貯蔵することで、みかんが多く出回る年末だけでなく、年明けにもみかんが楽しめる。しかも、貯蔵の間に水分が蒸発することで甘みが濃縮され、呼吸によって酸が消費され、味がまろやかになる。
というのが最大の特徴ですが・・・
ここまでの説明だと少し誤解が生まれてしまっているんじゃないかなと思います。
蔵出しみかんと一般的なみかんとのもう一つの違いとして、品種の違いがあります。
みかんの品種について
みかんと言われて皆さんの頭に思い浮かぶのは下の写真のような「温州みかん」だと思います。
外観はすべて同じみかんに見えますが、実はこの3つのみかんはすべて違う品種なんです。
みかんの品種について詳しくは、 みかんの分類や品種 でも紹介していますが、今回は食味の違いに注目して、写真も交えながら紹介していきたいと思います。
先ほどのみかんを分類すると以下の写真のようになります。
特徴は以下の通り!
項目 | 晩生みかん | 中生みかん | 早生みかん |
---|---|---|---|
収穫時期 | 12月~1月 | 12月 | 11月~12月 |
ふくろの厚さ | 厚い | 晩生と早生の中間 | 薄い |
早生→中生→晩生の順番で旬の時期を迎えるのですが、最大の特徴の違いはふくろの厚さ。
外観は3つともほぼ一緒ですが、皮をむいてみると違いが分かります。
まず割ってみると・・・
晩生みかんはふくろが厚いので白い繊維がしっかりと見えます。
対して早生みかんはふくろが薄く、果肉のみかん色がはっきり見えます。
中生みかんはその中間という感じですね。
続いて房ごとに分解してみると・・・
ふくろについている繊維質も、晩生が多く、中生、早生になるほど少なくなっています。
最後に半分に切ってみると・・・
外皮についても晩生みかんが厚く、中生、早生となるほど薄くなっているのが分かると思います。
晩生みかん、中生みかん、早生みかんの違いを感じて頂けましたでしょうか!?
蔵出しみかんの品種について
さて、本題に戻りますが、一般的に年末に出回るみかんは早生品種が多く、年明けの蔵出しみかんは、晩生品種であることが多いです。
勘のいい方はお気づきかもしれませんが、蔵出しみかんは収穫後2,3か月貯蔵するので、皮が厚くて、ふくろもしっかりとした晩生品種が適しているんです。
そして、お客さんが蔵出しみかんを手に取って、食べてくれた時に、「ん?なんだかふくろがごついなぁ」という感じでギャップが生まれてしまっているんじゃないかな?と思います。
みかんのふくろや筋には栄養たっぷり!
さて、ここで終わると、蔵出しみかんってふくろがごついのか・・・で終わってしまいますね。最後に晩生みかんの特徴でもあるふくろや筋の魅力を紹介したいと思います。
みかんは果肉の部分にもビタミンCやβ‐クリプトキサンチン、ビタミンB1など、様々な栄養素が含まれていますが、さらにふくろや筋には以下のような栄養素が含まれています。
成分 | 効能 |
---|---|
ヘスペリジン | フラボノイドの1種で、がんの原因の1つといわれる活性酸素を抑える「抗酸化作用」を持ちます。白い筋の部分に多く含まれます。 |
食物繊維 | かんきつの特に皮、袋、筋の部分には、食物繊維が多く含まれています。ペクチンは水溶性の良質な繊維で、腸の中で水分を調節し、便秘を解消します。 |
ふくろや筋が多い=栄養分もたっぷりということになりますので、蔵出しみかんはそんな「おいしい」魅力もあるということになるかなと思います♪
また食味の面でも、ふくろが厚いことにより、プリっとふくろをかみしめると中からジュワァと濃厚な果汁があふれてくる味わいは晩生みかんならではの魅力ですので、ぜひそんな魅力も味わってもらえると嬉しいです♪
蔵出しみかんと一般的なみかんの違いまとめ
さて、改めてまとめると以下の通りになります
項目 | 蔵出しみかん | 一般的なみかん |
---|---|---|
出荷方法 | 年末に収穫したみかんを2,3か月貯蔵して熟成させてから出荷 | 年末に収穫したみかんをすぐに出荷 |
流通時期 | 1月~3月 | 11月~12月 |
一般的な品種 | 晩生 | 早生 |
特徴 | ふくろやすじ、皮が厚めなので食感に特徴がある。栄養成分たっぷり! | ふくろやすじ、皮が薄めなのでみかんの果肉の味わいをそのまま味わえる。 |
今回は味について触れていないので、甘さに違いはないの!?という質問が飛んできそうですが、甘さに関しては、品種の違いよりも土地条件や栽培方法による影響が大きいので、品種による違いはそれほどないと思ってもらえたらと思います。
蔵出しみかんはまずいのか?
これだけははっきり言っておきます!まずくないです。年末のみかんには年末のみかんの、蔵出しみかんには蔵出しみかんの魅力があります。
ぜひ特徴を知っていただいたうえで、お召し上がりいただけると嬉しいです♪
蔵出しみかんの藤原農園では、一般的な蔵出し晩生みかんだけでなく、蔵出し早生みかんや蔵出し中生みかんも生産しています。
蔵出しみかんが気になった方はぜひ、お試しくださいませ。
蔵出しみかんのことをもっと知りたい方はこちらもご覧くださいませ
蔵出しみかんとは!?
一人でも多くの方に「蔵出しみかんはおいしい」と感じてもらえると嬉しいなと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。