みかん栽培ではカイガラムシやハダニなど、様々な害虫がみかんにやってきます。
そのため、病害虫対策が欠かせないのですが、その中でも最も基本となるのがマシン油乳剤の散布。
今回は、マシン油乳剤とは何か?なぜずっと使われているのか?実際のやり方は?など、マシン油についてしっかり解説していこうと思います
マシン油乳剤とは
マシン油乳剤とは天然有機化合物殺虫剤の一つで石油から精製された炭化水素を主原料とする。果樹や樹木のハダニ類やカイガラムシ類などの防除薬剤として冬期に用いられることが多い。
※出展:農業技術辞典(農研機構)
辞典から引っ張ってくるとなかなか難しい感じですが、簡単にゆうと
油でダニやカイガラムシの体を覆って窒息させることによって物理的に害虫を防除できる薬となります。
マシン油乳剤の特徴
マシン油乳剤の一番の特徴は病害虫の抵抗性がつかないこと。
化学的に防除する農薬の場合、ずっと同じ薬をやり続けると、その薬剤に対して耐性をもち、効かなくなってしまうことがあります。
これを抵抗性をもってしまったなんていうのですが、マシン油乳剤は物理的に防除するので抵抗性が発達することはありません!
多くの農薬が新しく出ては抵抗がつき、また新しい薬・・・となっていく中で、この薬は抵抗性がつかないため、古くは江戸時代の鯨油を使っての水田防除から始まり、明治時代に機械油に代用されて以降なお現在も続いて使われている非常に歴史の長い農薬です。
また化学物質を使うわけではなく物理的に防除しているので安心感もあるかなと思います。
みかん栽培でマシン油乳剤をやる目的
みかん栽培でマシン油乳剤をやる目的はずばり、カイガラムシ類とダニ類の防除になります。
特に前年にヤノネカイガラムシがたくさんついてしまった場合は、初期防除として冬もしくは春先にマシン油乳剤をやるのが防除の基礎の基礎になります。
マシン油の具体的な商品名は?
マシン油乳剤と総称される農薬ですが、実際の商品名はハーベストオイルやトモノールなど、メーカーによっていろいろあります。ここではうちで使っているハーベストオイルの場合で紹介していきたいと思います。
冬マシン、春マシン、夏マシンって??
みかん栽培ではマシン油乳剤を散布するタイミングはおよそ3回あります
種類 | 時期 | 倍数 | 注意点 |
---|---|---|---|
冬マシン | 1~2月 | 60倍 | 厳寒期にやると落葉の原因になるのでなるべく暖かい日に散布 |
春マシン | 3~4月 | 60倍 | ボルドー液等との近接散布に注意 |
夏マシン | 6~7月 | 200倍 | ダニ類のみへ対策になる(カイガラムシは防除できない) |
どこでやるかは人それぞれですが、濃い倍数でやれる冬~春のマシンが最も効果的なので、カイガラムシが前年に大量発生してしまった場合には冬マシンか春マシンを散布しましょう。
うちは冬は蔵出しみかんの出荷で忙しいため、春マシンで対応しています。
マシン油乳剤使用時の注意点
マシン油乳剤使用時の注意点は以下の通りとなります
- 厳寒期にやらない
- 冬マシンと春マシンはどちらかに
- とにかく丁寧にかける
ひとつずつ説明していきます。
1,厳寒期にやらない
マシン油乳剤は油をかけることで虫を窒息させてやっつける薬です。つまり、マシン油をかけるとみかんの木も一定の間呼吸ができなくなります。めちゃくちゃ寒いタイミングでこのような状態になると・・・落葉します。
冬場のみかんの葉は貯蔵養分を蓄えていますのでその葉がなくなると、春先の新芽の成長に大ダメージになります。
なので冬マシンをやる際になるべく暖かい日(10度以上の日)に散布しましょう
2,冬マシンと春マシンはどちらかに
1でも書いた通り、マシン油をかけるとみかんの木も窒息状態になります。そんな状態に2回もさらされると・・・木が弱りますね。
いくらヤノネカイガラムシが大量発生したとしても、2回散布はやめましょう。5月以降のモベントやコルトで対応していくといいと思います。
同じ理論で、農薬散布が途中で終わった際などは、再開する際2度掛けしないようにする方がいいと思います。(乾く前ならそれほど問題ないと思います)
3、とにかく丁寧にかける
上にも書いた通りマシン油乳剤は虫さんを油で被い窒息させるので、虫全体にしっかりかからないと効きません。しかもカイガラムシ類は葉の裏にいることの多い虫なので、葉裏までしっかりかけるようにしましょう!
実際のやり方等を動画で解説
マシン油乳剤のやり方を実際の動画で解説します!
特にヤノネカイガラムシ対策について詳しく解説していますのでぜひご覧くださいませ♪
今日はマシン油乳剤について紹介させていただきました。